Web 業界にやってきて丸一年が経過していたので振り返る
本記事の内容は個人の見解によるものです。
2022/11/01に転職し、IoT 系から Web 系へと移った。いろいろな勝手の違いに戸惑いつつも徐々に慣れ、気がつけば丸一年が経過していた。暦的に1年の振り返りの時期でもあったので、せっかくならばということで振り返りを書いておく。
やったこと
転職したことで WebRTC が自分の専門となったため、周囲へ追いつくためにひたすらインプット・アウトプットすることを重視した。
標準化会議への参加
現在、WebRTC 周辺の関係者は新たなプロトコルに関して議論している最中である。その最新動向を追うために標準化会議へ参加している。
- IETF 116 Yokohama
- TPAC 2023 Sevilla
技術ドキュメント読み
WebRTC や MOQT の知識を得るために、チームで関連文書を読んでいる。基本的には エクストリームリーディング 形式で参加者に負担がかからない形式で継続している。
- RFC
- RFC 8825 - Overview: Real-Time Protocols for Browser-Based Applications
- RFC 7478 - Web Real-Time Communication Use Cases and Requirements
- RFC 8489 - Session Traversal Utilities for NAT (STUN)
- RFC 8656 - Traversal Using Relays around NAT (TURN): Relay Extensions to Session Traversal Utilities for NAT (STUN)
- RFC 8445 - Interactive Connectivity Establishment (ICE): A Protocol for Network Address Translator (NAT) Traversal
- RFC 8838 - Trickle ICE: Incremental Provisioning of Candidates for the Interactive Connectivity Establishment (ICE) Protocol
- I-D
- W3C ドキュメント
- WebRTC: Real-Time Communication in Browsers [WIP]
- WebRTC Extended Use Cases
記事執筆
勉強したことの中であまり情報が落ちていなそうなものがあれば、有益な情報を残せるよう記事を書くことにしている。
- 参加レポート
- 技術記事
イベント運営
コロナ収束に伴い WebRTC Meetup が復活したので運営に参加している。コロナ前とは情勢が全く異なるので、毎回 KPT を行いながら、時流に沿った形式で開催できるように改善を続けている。
登壇
初心者歓迎のイベントを中心に登壇させていただいた。W3C 日本会員会議は少し毛色が違うが、TPAC 2023 へ参加した流れで登壇の機会をいただき、WebRTC の最新動向について紹介した。
GitHub 公開
記事や登壇に関するコード、自分の趣味で書いているコードなどを公開するようにした。
Twitter アカウント立ち上げ
自分の活動を宣伝できるようにアカウントを立ち上げた。
(ギリギリ青い鳥アイコンの時代に開設できた)
感想
ここからは思ったことを中心に書く。
取り組みについて
転職前は比較的クローズドな環境だったこともあり、やったこと に書いた内容は (登壇以外すべて) 自分にとって初めての取り組みとなった。これらすべてがやってよかったと思え、特にアウトプットやイベント運営に関しては非常に有意義な活動だった。
アウトプットを有意義だと思った観点は、他者の役に立てる点・自分の勉強になる点の2つだ。前者は他者に貢献した結果、「面白かった」「勉強になった」などの感想をもらえることがあり、それが更なるモチベーション向上にも繋がっている。後者はアウトプット用に記事や資料を作り始めてみると自分が思ったより理解していないことがわかり、理解するためにより深く勉強する機会を得られた。 We Are JavaScripters! では TDD (Todan Driven Development) という考え方を押し出しているが、実際に参加してみてとても共感できた。
イベントの運営についてもコミュニティを育てるという貴重な経験ができて有意義だと感じている。同じ技術に関わる人同士が情報交換できる場を提供することで界隈の活発化に貢献することが目標である。アフターコロナのニーズにぴったり合った形式でイベントを開催することは非常に難しいと感じているが、改善を繰り返すことで何とか最適解にたどり着きたい。
Web 業界について
Web 業界はとてもオープンであり、必要な情報のほとんどが公開されている。これは非常に便利だが、裏を返せば情報の格差が生まれないため実力勝負の側面が強いと思っている。周りを見るとものすごい実力者ばかりなのでハードルが高いように思われるが、多くの人はそのハードルを経験していることもあってか初中級者に対して優しく接してくれる。
振り返ってみると、多くの方々の優しさのおかげでゆっくりながら着実に成長できていると感じている。自分も初心者に対して優しく接するように心がけたい。
今後取り組みたいこと
今後やりたいことは WebRTC 以外の勉強も進めていくことだ。Rust や WebAssembly、MOQT など、新たに興味を持っている技術についても知識の習得を進めたい。
もちろん、勉強した内容はアウトプットに繋げ、他者へ貢献できるようにすることは忘れないようにしたい。